アメリカ最新コンビニ市場ランキング 2023

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主にアメリカの流通小売りに関する最新情報をお伝えしている当メールマガジンですが、これまでコンビニエンス・ストア(※以降コンビニ)を取り上げたことがありませんでした。

今回イリノイ州シカゴに拠点を置き、BtoBベースでコンビニ、石油小売り、フードサービス業界等の市場調査、市場分析、経営アドバイス等のサービスを提供しているウィンサイト(Winsight, LLC)社が、アメリカにおけるコンビニ店舗数をベースにしたランキングを発表しているのでご報告します。

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2024「NRF世界の小売企業トップ50」

2024「NRF世界の小売企業トップ50」

全米小売業協会(NRF-National Retail Federation)が、英国ロンドンを拠点として90ヶ国で活動する世界的マーケティング企業のカンター・グループ(Kantar Group)の協力を得てまとめた「Top 50 Global Retailers 2024 / 世界の小売企業トップ50」を公開しました。 最低3ヶ国以上でビジネスを展開している小売企業が対象で、カンター・グループにより特別に構成されたアナリストチームが、様々な情報源(年次報告書、報道発表、公的書類、消費者専門調査結果等)からそれぞれの小売企業の2023年初頭からの小売収益と業績に関する情報を収集・分析し、カンター・グループが作成した独自のポイントシステムによりランキングを決定しました。 このポイントシステムの大きな特徴の一つは、それぞれの小売企業の拠点国以外における国際事業に高いポイントを付与し、国内事業へのポイントは低く設定されている点で、よりグローバルな事業展開をして成功している小売企業が有利になります。 したがって、海外でのパフォーマンスが高く評価された企業が多くのポイントを獲得するため、順位は必ずしも総収益の多寡に比例しません。最もグローバルな視点で成功している小売企業をランキング化したものとなります。 ランキング トップ10ランキングとその他トップ50に選ばれた主な小売企業は以下の通りです。 トップ10小売企業 順位企業名拠点国業種総収益(10億ドル)1ウォルマート(Walmart)米SM628.62アマゾン(Amazon)米EC355.13シュバルツ・グループ(Schwarz Group)独DS176.44アルディ(Aldi)独DS145.45コストコ(Costco)米MWC2346アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize)蘭SM97.17カルフール(Carrefour)仏SM89.78セブン&アイ(Seven & I)日CVS84.99ホーム・デポ(The Home Depot)米HC151.610イケア(IKEA)蘭HF45.6NRF, Kantar Groupデータによる その他主な小売企業 順位企業名拠点国業種総収益(10億ドル)11ウォルグリーン(Walgreens Boots Alliance)米Dgs12.6612レーヴェ(REWE)独SM18.0115カジノ(Casino)仏SM21.7316アリババ(Alibaba)中EC2.5819メトロ(Metro)独HM21.6222イオン(AEON)日SM/SC4.6224オーシャン(Auchan)仏SM11.832ファースト・リテイリング(Fast Retailing)日EC/SS11.3934ベスト・バイ(Best Buy)米CE3.241ファミリーマート(Family Mart)日CVS4.8850ローソン(Lawson)日CVS2.51NRF, Kantar Groupデータによる ランキング解説 トップはアメリカを拠点に世界19か国で店舗およびeコマースを展開しているウォルマートでした。海外での店舗数は5,230店舗と国内の店舗数とほぼ同数を展開しており、世界一の小売企業としての地位を堅持しました。特にメキシコやチリにおけるeコマースへのインフラ投資により、低所得の消費者でも利用しやすいプラットフォームが構築されたことなどが評価されました。 2位はアマゾンで、世界22か国で展開しているeコマースは堅調で、二けたの成長を記録しました。アマゾンのバナーを掲げる不採算店舗を軒並み閉店したり、自社マーケットプレイス(Amazon.com)における手数料やサードパーティ事業者に対する対応等同社の商習慣に対してEU及び米国政府の監視が厳しくなるなどネガティブな要因があるものの全体的には増収となりました。 3位はドイツを拠点としているシュバルツ・グループで、世界32ヶ国で14,000店舗以上を展開している多国籍企業で、リドルやカウフランド等が代表的バナーとなります。主に西ヨーロッパ市場における店舗およびeコマースの拡大に注力しており、自社ブランド製品の拡大や、サプライチェーンの自動化と業務のデジタル化等により収益を伸ばしたと報告されています。 カンター・グループによると、小売業界における人手不足はゆっくりではあるものの解消されはじめており、人材の定着によって店舗での顧客満足度が上がりつつあるということです。一方でデジタル化の推進によるオムニチャネルの構築は未だ成長分野であり、引き続きシームレスなショッピング体験を提供して顧客満足度を上げることが世界中の小売企業に求められているということで、今後セルフ・チェックアウト等への投資が増えていくだろうと述べています。 2024年はこのオムニチャネルによる差別化への取り組みが活発化するとみられ、今回の企業ランキングにも大きな変動が予測されるということです。 1年後のランキングがどのようになるのか注視していきたいと思います。 ランキング中の業種表記 ランキング中の業種表記は以下をご参照ください。 SMスーパーマーケットECオンライン小売DSディスカウンターMWC会員制ホールセール・クラブCVSコンビニエンスストアHCホームセンターHFホームファッションDgsドラッグストアHMハイパーマーケットSCショッピングセンターSSスペシャルティ・ストアCE家電量販店 (2024.4.19配信/記事作成:イオンコンパス(株)海外仕入部)

アメリカ・コンビニ店舗数ランキングTOP10

上位10社の顔触れは以下の表の通りです。

順位企業名店舗数前年順位
1セブン・イレブン(7-Eleven)128541
2アリマンタション・クシュタール(Alimentation Couche-Tard )= サークルK70082
3ケーシーズ(Casey’s General Stores)24703
4マーフィ(Murphy USA)17125
5EGアメリカ(EG America)16824
6GPMインベストメント(GPM Investments)14046
7BPアメリカ(BP America)12247
8エクストラマイル(ExtraMile)10378
9ワワ(Wawa)9889
10クイックトリップ(QuikTrip)96310
※Winsight, LLC社データによる

断トツのトップはセブン・イレブン

断トツのトップはテキサス州アービングを拠点とするセブン・イレブンです。

アメリカのコンビニ市場は、日本と比べて特定企業による市場の寡占化が進んでいないと言われています。 確かに全米コンビニエンスストア協会(NACS)の最新データによると、アメリカのコンビニ店舗総数は2022年12月時点で150,174店舗で、セブン・イレブンのシェアはわずか8.6%程度となります。

しかし、非常に小さなコンビニ店舗やチェーンが非常に多いアメリカでのセブン・イレブンの売り上げベースでの市場シェアとなると、調査会社IBISWorld社のデータでは2022年度で約36%と非常に高くなっています。 

ちなみに日本のコンビニ市場でもセブン・イレブンがトップを走りますが、2022年度の売り上げベース市場シェアは46.1%、店舗数ベースで38.4%とどちらも非常に高いのが特徴です。また、日本では首位のセブン・イレブンに続いて2位のファミリーマート、3位のローソンの上位3社による店舗数シェアが93.1%という極端な寡占状態となっています。

アメリカコンビニのもう一つの大きな特徴

アメリカのコンビニのもう一つの大きな特徴として、約80%の店舗(118,678店舗)がガソリンスタンドを併設しているということで、ガソリンの売上額がコンビニでの商品売り上げの約1.5倍を占めているという点が挙げられます。日本でもガソリンスタンド併設のコンビニは増えてはいるものの、現在約16%程度で、アメリカに比べてまだまだ少ないのが現状です。 

そもそもアメリカのコンビニは、後に現在のセブン・イレブンになるサウスランド・アイス・カンパニー(Southland Ice Company)が、1927年に年中無休で毎日16時間オープンしている小売店舗を始めたことから始まっており、朝7時から夜11時まで営業していたことから1946年に現在のセブン・イレブンという名称に変更されました。

1971年時点でガソリンスタンドを併設していたコンビニはわずか7%程度でしたが、その後2回に渡る世界的オイルショックにより、ガソリン代節約のため買い物と給油をワンストップでできるコンビニの需要が高まり、その後10年で一気にガソリンスタンド併設型コンビニが増えたという経緯があります。

この流れは現在も変わっておらず、トップのセブン・イレブンは、2018年にガソリンスタンド併設型コンビニを展開していたスノコ(Sunoco)1,030店舗、2021年にはガソリンスタンドを運営するマラソン・ペトロリウム(Marathon Petroleum)社が展開していたコンビニチェーンのスピードウェイ(Speedway)約3,800店舗を買収するなど、ガソリンスタンド併設型コンビニの拡大を進めてきております。

なお、4位に入っているマーフィ(Murphy USA)は、ガソリンスタンド併設型コンビニというより、コンビニ併設型のガソリンスタンドという位置づけの企業で、多くのガソリンスタンドをウォルマートの店舗敷地内あるいは隣接地にて展開することで業績を伸ばしています。

イギリス拠点の世界的市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)社のデータによると、アメリカの全グロサリー売上額に占めるコンビニ業態のシェアは約10%(ガソリン売り上げは除く)で、日本のコンビニの約21%と比べるとコンビニの存在感が低い状況ですが、今後5年間のCAGR(年平均成長率)は6.6%で、コンビニ以外の5.5%を上回る見通しとなっています。

これからもコンビニ業界の動向に注目していきたいと思います。

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発表! アメリカ小売業 顧客満足度ランキング 2025

発表! アメリカ小売業 顧客満足度ランキング 2025

アメリカの様々な業界における消費者満足度の測定と分析を行っている組織であるACSI LLC(American Customer Satisfaction Index LLC)による、アメリカの小売業における最新の顧客満足度調査結果が発表されました。 ACSI-American Customer Satisfaction Indexとは? この顧客満足度調査(ACSI-American Customer Satisfaction Index/顧客満足度指数)は、25年以上にわたり重要な経済指標として活用されているもので、年間約20万人の顧客へのインタビューから得たデータに基づいています。 400以上の企業や政府機関等を対象に行われているもので、協力した全ての顧客によるASCIスコア(0~100点満点)を集計したものです。小売業では、百貨店などの総合小売業、オンライン小売業、スポーツ用品等の専門小売業からガソリンスタンド等6種類のカテゴリー毎にランキングが発表されましたが、今回はその中からスーパーマーケット部門の最新結果をご報告します。 このスコアは、次の18の評価カテゴリーの平均スコアをまとめたものです。 店舗営業時間の利便性 店舗立地の利便性 オンライン注文品の受け取り手続きの簡素さ モバイルアプリの品質 ブランド力 オンライン注文品の正確さ 店舗レイアウトと清潔さ 精肉や農産物の新鮮さ モバイルアプリの信頼性 ウェブサイトの満足度 取扱商品の多様性と品揃え オンライン注文品受け取りのスピード 商品在庫 スタッフの礼儀正しさと親切さ 薬局サービスの質 セールやプロモーションの頻度 チェックアウトプロセスのスピード コールセンターの満足度 ACSI ランキング 2025 (スーパーマーケット(SM)部門) これら18のカテゴリーの平均スコアが最も高かった上位10社は以下の通りです。 順位企業名※ACSIスコア1パブリクス(Publix)84(85)1トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)84(84)3サムズ・クラブ(Sam’s Club)83(83)3ウェグマンズ(Wegmans)83(82)5エイチ・イー・バット(H-E-B)82(85)5ホールフーズ(Whole Foods)82(82)7アルディ(Aldi)81(81)7コストコ(Costco)81(85)9ショップライト(Shoprite)80(80)9ターゲット(Target)80(82)※ACSI LLCデータによる(スコアのカッコ内は前年度数値) スーパーマーケット部門の平均スコアは79ポイントで、これは前年度の平均スコアと同じでした。首位はトレーダー・ジョーズとパブリクスが84ポイントで並びましたが、パブリクスは前年度から1ポイント落としました。上位10社の中で前年からポイントがアップしたのはウェグマンズのみですが、これは取り扱い商品の品質と店舗スタッフの対応がほぼ満点だったことによるものです。 一方で、エイチ・イー・バットとコストコが大きくスコアを落としており、その要因としてエイチ・イー・バットはチェックアウトプロセスの遅さ、コストコは販促活動の内容とレジ待ち時間の長さが影響したということです。因みにウォルマートは19位で、スコアは75でしたが、前年より1ポイントアップしました。 地域別のACSIスコア なお、地域別のACSIスコアも発表されており、その結果は以下の通りです。 地域企業名スコア北東部ウェグマンズ(Wegmans)84アルディ(Aldi)80中西部サムズ・クラブ(Sam’s Club)84アルディ(Aldi)80南部エイチ・イー・バット(H-E-B)84パブリクス(Publix)84アルディ(Aldi)81西部トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)84コストコ(Costco)82 ウェグマンズやエイチ・イー・バットが特定の地域でトップになるのはリージョナルチェーンのため当然ですが、全4つの地域のうち3つの地域で上位にランクインしているアルディには今後も注目をしていきたいと思います。

(2023.12.26配信/記事作成:イオンコンパス(株)海外仕入部)

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