アメリカ最大の情報誌およびニュースサイトであるUSA Todayが、専門家、編集者および読者による最新の「アメリカのベスト・グロサリーストア・トップ10」を発表しました。
これはUSA Todayが定期的に行っている「10ベスト・リーダーズ・チョイス(10Best Readers’ Choice)」という調査プロジェクトのひとつで、旅行先、飲食店、ホテル、アクティビティ等様々なカテゴリーのサービスプロバイダーを対象に、その分野の専門家とUSA Todayの編集者が最も優秀と思われる評価対象候補をリストアップし、その中から全USA Today読者が4週間にわたり毎日1票ずつ投票したものを集計してランキング化しているものです。
B2B専門の食品小売り関連情報サイトを運営しているウィンサイト・グロサリー・ビジネス(Winsight Grocery Business)社の最新の調査によると、アメリカの消費者は10年前に比べて2倍の店舗を訪問して買い物をするようになったとのことです。
この背景には恒常的なインフレに加えて、2020年に発生した新型コロナウイルスによる長期のパンデミックによって更に加速したインフレ環境のなか、より経済的な買い物をするために多くの店舗を訪問するようになったということがあります。
従って年収が10万ドルを超える比較的富裕層と言われる消費者たちが、かつて見向きもしなかった価格訴求の代表格のウォルマートやダラーストアに足を運ぶ頻度が増えているという現象も起きています。
しかし、このような状況下でも他店舗では経験できないような高品質なサービスや商品を提供し続けることで、リピートして特定の店舗を利用し続けるいわゆるロイヤルカスタマーと呼ばれる優良顧客を多数獲得することに成功している店舗があります。
このようなロイヤルカスタマーは、特定のグロサリーストアに対して強い愛着や信頼を持っており、自身がその店舗をリピート訪問するだけではなく家族をはじめ友人や同僚などにもその店舗を勧めてくれたりするため、このようなロイヤルカスタマーを獲得することが企業にとって最優先課題となっています。
「アメリカのベスト・グロサリーストア・トップ10」は、数あるグロサリーストアの中で、最も価値のある店舗、最高のサービスを得られる店舗、高品質なグロサリーとセレクション、リピートしたくなる店舗等の観点から選ばれたものをまとめたものです。言い換えればより多くのロイヤルカスタマーに支持されている店舗ということになります。
◆USA Today 10 Best Grocery Stores 2023
規模の大小はありますが、アメリカには63,000を超えるグロサリーストア(スーパーマーケット)がありますが、その中から選ばれたトップ10は以下の通りです。
2023 順位 | 企業名 | 2022 順位 |
---|---|---|
1 | The Fresh Market (フレッシュ・マーケット) | 1 |
2 | Hy-Vee (ハイヴィー) | 2 |
3 | Stew Leonard’s (スチュー・レオナルド) | 5 |
4 | Aldi (アルディ) | 3 |
5 | Heinen’s Grocery Store (ハイネンズ・グロサリーストア) | – |
6 | Gelson’s Markets (ゲルソンズ) | – |
7 | Lidl (リドル) | 4 |
8 | Publix (パブリクス) | 7 |
9 | Trader Joe’s (トレーダー・ジョーズ) | 9 |
10 | Wegmans Food Markets (ウェグマンズ) | 8 |
数多くのランキングで上位に入っている常連企業のパブリクス、ウェグマンズ、トレーダー・ジョーズ等を差し置いて、フレッシュ・マーケット(The Fresh Market)が昨年に続いてトップに選ばれました。
実際には2021年にもトップになっているため、3年連続での首位となります。
フレッシュ・マーケットは1982年創業で、ノースカロライナ州グリーンズボロを拠点に東海岸エリアを中心に22州で約160店舗を展開しているリージョナルチェーンで、ヨーロッパの生鮮市場を再現した店舗レイアウトと、1,500を超えるプライベート・ブランド商品が人気となっており、つい先日今後2年間で22店舗を新規オープンすると発表したばかりです。
平均的な店舗サイズは2,000㎡弱と比較的コンパクトな店舗での展開となっています。
2021年から導入したロイヤルティ・プログラム’Ultimate Loyalty Experience‘は、わずか7か月で100万人を超える会員を獲得しており、食品デリバリー大手のインスタカート(Instacart)社によるオンライン注文品の1時間以内配送も実施するなど、eコマースへの対応にも力を入れているグロサリー企業です。
今後も様々な視点から見たランキング情報をお届けしたいと思います。
(2023.11.22配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)