ちょうど1年前(2020年6月1日)に弊社メールマガジン「発表!米国食品小売企業 売上ランキング2020」にて、アメリカの小売業界誌大手プログレッシブ・グローサー(Progressive Grocer)誌が集計したアメリカに店舗を持つ食品および消耗品(food and consumables)を取り扱う小売企業の売上高ランキングを紹介しましたが、最新のランキングが発表されました。
1年前に発表されたランキングは、まだ新型コロナウイルスの影響を受ける前の数値ということで、全100社のうち86社が前年度より売上げを伸ばし、100社の売上高合計も*1.87兆ドルで前年度から5.7%の伸びでした。
(*最終的に売上高合計は1.892兆ドルで6.9%の伸びと修正されています)
今回のランキングは100%新型コロナウイルスの影響下での数値となりますが、歴史的なパンデミック下における消費行動の劇的な変化、特に食料品や日用品需要の高まりにより、今回の100社合計売上高は11.6%伸びて2.112兆ドルと記録的な結果となりました。
以下、売上高上位20社のランキングです。
順位 | 企業名 | 売上高 (100万ドル) | 前年数値 | 伸び率 | 店舗数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ウォルマート(Walmart US) | 370 | 341 | 8.49% | 4743 |
2 | アマゾン(Amazon) ホールフーズ除く | 220058 | 153581 | 43.28% | 36 |
3 | クローガー(The Kroger Co) | 132498 | 122286 | 8.35% | 2743 |
4 | コストコ(Costco) | 115788 | 106092 | 9.14% | 552 |
5 | ウォルグリーンズ(Walgreens Boots Alliance) | 107701 | 104532 | 3.03% | 9021 |
6 | ターゲット(Target) | 93561 | 78112 | 19.78% | 1868 |
7 | CVSヘルス(CVS Health) | 91198 | 86608 | 5.30% | 9962 |
8 | アルバートソンズ(Albertsons Cos.) | 69690 | 62455 | 11.58% | 2277 |
9 | サムズ・クラブ(Sam’s Club) | 63910 | 58792 | 8.71% | 599 |
10 | アホールド・デレーズ・アメリカ(Ahold Delhaize USA) | 52 | 44841 | 15.60% | 1970 |
11 | パブリクス(Publix Super Markets) | 44864 | 38116 | 17.70% | 1264 |
12 | ロブロウ(Loblaw Companies Ltd) | 41388 | 37716 | 9.74% | 2439 |
13 | エイチ・イー・バット(H-E-B) | 36816 | 29700 | 23.96% | 354 |
14 | アリマンタション・クシュタール(Alimentation Couche-Tard) | 36680 | 38999 | ▲5.95% | 7283 |
15 | ダラー・ゼネラル(Dollar General) | 33746 | 27753 | 21.59% | 17177 |
16 | C&Sホールセール(C&S Wholesale Grocers) | 31450 | 28500 | 10.35% | 7700 |
17 | ウォルマート・メキシコ(Walmart de Mexico y CentroAmerica) | 28664 | 26517 | 8.10% | 2634 |
18 | マイヤー(Meijer Inc.) | 24157 | 20350 | 18.71% | 256 |
19 | ライトエイド(Rite Aid) | 24043 | 21928 | 9.65% | 2510 |
20 | コストコ・カナダ(Costco Canada) | 21185 | 19502 | 8.63% | 101 |
このデータはアメリカ国内でビジネスを展開している全ての小売企業を対象としており、アメリカ以外に本社を持つ企業も含まれます。
上位20社で最も売上を伸ばしたのは昨年同様アマゾンで、前年の24.52%を超えて43.28%と大幅な伸びとなりました。
Eコマース市場分析企業大手のEdge by Ascential社の市場調査部門であるRetail Insigetが先日発表したレポートによると、“2025年までにアマゾンがウォルマートを抜いて世界最大の小売企業になるだろう”と予測しています。
今回のProgressive Grocer社のランキングもそのレポートを裏付けるかたちとなっており、1年前までウォルマートの売上高はアマゾンの約2.2倍でしたが、今年は約1.68倍まで差が縮まってきています。
引き続きこの2強の動向からは目が離せません。
続いて21位以下の主な企業のランキングです。
順位 | 企業名 | 売上高 (100万ドル) | 前年数値 | 伸び率 | 店舗数 |
---|---|---|---|---|---|
24 | アルディ(Aldi US) | 17056 | 15486 | 10.14% | 2080 |
28 | トレーダー・ジョーズ(Trader joe’s Co) | 14100 | 13000 | 8.46% | 530 |
35 | ウェグマンズ(Wegmans Food Markets Inc.) | 10695 | 9700 | 10.26% | 105 |
44 | ウィンコフーズ(Winco Foods Inc.) | 7795 | 6858 | 13.66% | 131 |
48 | スプラウツ・ファーマーズ・マーケット(Sprouts Farmers Market) | 6468 | 5634 | 14.80% | 362 |
69 | グロサリー・アウトレット(Grocery Outlet) | 3134 | 2559 | 22.47% | 380 |
96 | リドル(Lidl) | 1025 | 779 | 31.58% | 125 |
アルディは売上を10.14%伸ばして、昨年の26位から24位にランクアップしました。
また昨年初めてランクインしたリドルは、アルディ同様ドイツ生まれの世界的ハード・ディスカウント業態の企業ですが、
31.58%という驚異的な売上増という結果となり、店舗数も前年の95店舗から125店舗まで拡大しました。
リドルが進出しているエリアでは、リドルの出店に合わせて既存の競合店が一斉に値下げをするなど‘リドルの脅威’として報じられています。
リドルの急成長は、一般のスーパーに比べ平均2〜3割安い価格設定であることが消費者に支持される理由の一つとして挙げられます。取扱商品の約90%は、値段を低く抑えつつも品質の高いことで多くの受賞実績のある同社プライベートブランド商品群により支えられています。
今後もアルディとリドルのドイツ勢は、アマゾンVS.ウォルマートと同様に注目していきたいと思います。
(2021.6.2配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)