米国のコンサルティング企業であるMagid(マギッド)社による、米国消費者に人気のプライベート・ブランド(PB)に関する調査結果をご紹介します。この調査は米国の消費者3,000名を対象に、米国グローサリーストアのプライベート・ブランドに対する購入意欲(今後、そのプライベート・ブランドの商品購入を検討するか)を調べたものです。
最も消費者の購入意欲が高かったのはTrader Joe’s(トレーダー・ジョー)のPBで、約56%の消費者が購入を検討すると答えています。次点は、55%の消費者が支持したMeijer(マイヤー)とAldi(アルディ)でした。以下に主なグローサリーストアの調査結果を記載します。
企業名 | 購入したいと答えた消費者(%) |
---|---|
Trader Joe’s(トレーダー・ジョー) | 56% |
Meijer(マイヤー) | 55% |
Aldi(アルディ) | 55% |
Kroger(クローガー) | 53% |
Publix(パブリクス) | 53% |
Costco(コストコ) | 53% |
Walmart(ウォルマート) Sam’s Club(サムズ・クラブ) | 51% |
Target(ターゲット) | 46% |
Amazon(アマゾン)※グローサリーのみ | 37% |
上記は企業毎のPBの調査となり、企業によっては複数のPBラインを持っており、同じ企業の中でもPBラインによって消費者の認識や購入したいかどうかには、大きな差があったとのことです。例えば、コストコの主なPBラインであるKirkland(カークランド)は消費者の94%にPBとして認識されており、かつ74%が今後購入を検討したいと回答しています。また、ターゲットのMarket Pantry (マーケット・パントリー)は79%の消費者に認識され、59%が購入を検討したいと回答しています。ウォルマートは複数のPBラインを持っていることもあり、ラインによって値が異なっています。
今回の調査で明らかになったこととして、消費者はその分野に強い専門性をもっている企業のPBを好んで購入したいと考えていることがわかりました。既にストア・ブランドそのものが確立しているトレーダー・ジョーやアルディだけでなく、パブリクスのようにグローサリーストアとして長年信頼を築いている企業が支持されていることからも実証されていると、マギッド社のシニア・バイス・プレジデントであるSargent氏は述べています。
またSargent氏は、出店地域が限られている企業では、地元の消費者向けにPBをカスタマイズする方が、ナショナル・ブランド(NB)を販売するよりも効果的であると指摘しています。ターゲットやウォルマートのように企業規模が大きく、地域ごとのカスタマイズや特定の分野にPBを集中させることが困難な「Generalist(ジェネラリスト)」であっても、PBを拡大する余地はあるとしています。
今回の調査ではアマゾンは37%という結果となり、調査対象となったグローサリーストア分野の中で、最下位となりました。これはアマゾンが「ジェネラリスト」であると同時に、ECから始まった企業であり、グローサリーの分野での消費者認知が進んでいない可能性があると考えられています。Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)の「365」ブランドの投入などを実施していますが、効果は見られず市場シェアを落としています。
マギッド社によると、これまでのPBに期待されていたことは、NBよりも安く、早く消費者の手元に届ける事でしたが、近年は消費者の個別の嗜好に重きを置いた差別化や、高級志向のPBの伸びなどからPBが進化しています。Sargent氏によると、現状の影響力をもったままPBが進化していけば、NBに大きなプレッシャーを与える事になると指摘しています。
単なるNBの代替品としてではなく、価値を高めながら市場を拡大しているPBに、今後も注目していきたいと思います。
(2018.10.10配信)